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映画音楽
その昔、私にとっての青春の音楽といえば、映画音楽であった。
実は私の映画音楽(映画といってもアニメだが)は、"パーマン"から始まったのである。
これは当然、幼児期に親に買ってもらったもので、レコードの底がすり切れるまで聴いた。
その後、オヤジの影響でオープンテープを使ってクラシックをさんざん聴かされ、そこから突然映画音楽になるのだ。
なぜ突然映画音楽だったのかといえば、おそらくそれは、小学生から中学生にかけて、午後4時台の洋物TVドラマに凝りまくっていたからだと思われる。
ローハイドやコンバットから始まるこの洋物TVドラマについては、別の機会にテーマとして展開したいと思うが、この洋物TVドラマの挿入歌や劇中テーマ曲などにこり始めていったのだった。
その頃日本のTV番組は、低予算の関係から大抵ピアノかトランペットあるいはバイオリンといった、単楽器での独奏がサウンドトラックの主流であったので、数種類の楽器によるチープな演奏でも、子供の私にはセッションで演奏される外国ドラマの方が魅力的であった。
そういう年頃に、劇場で初めて観た映画は、"タワーリング・インフェルノ"だった。
どっかの試写会だったのだが、それを機に映画音楽に目覚めてしまうのである。
私が中学生の頃はあたりまえにお金などたいして持っていなかったので、少ない小遣いで買えるアルバムといえば、その頃流行の1300円シリーズとか1500円シリーズといわれた、サントラでない映画音楽アルバムと相場は決まっていた。
普通のアルバムは2500円した時代のことだ。
1300円シリーズを作るのにお金がかかっているわけはない。
この1300円シリーズ・1500円シリーズには、その値段にも関わらず15曲入っているなんて物はザラだったから、きられている溝なんてものは物凄く細かった。
そのために、一般にその再生音は小さく、ダイナミックレンジは狭かった。
その後、どういう風にして巡り会ったのか全く覚えていないが、関光男さんのFM映画音楽特集に巡り会い、ことあるたびにエアチェックするようになっていった。
私が好きで、かつよくかかる曲といえば−、"荒野の七人"・"ハリーとトント"・"バラキ"・"遠すぎた橋 序曲"・"犬神家の一族 愛のバラード"などが常連だった。
"荒野の七人"は、なぜかサントラよりもコロンビア楽団のコピーの方が人気が高かった。
これは曲の最初に、駅馬車の走る音やピストルの発砲音が入っているために、サントラ盤と間違えられたこともあるような気がするが、それ以上に演奏が素晴らしくよかった。
サントラよりも出来がよかったのである。
なによりも、本当に馬上で自分が走っているような軽快でダイナミックなサウンド−主にストリングスとホルン系(チューバ系?)ブラスで構成されていた−が、素晴らしかった。
"ハリーとトント"は、確か老人と猫の物語だったような気がする。
映画を見たこともないのだが、老人を象徴しているかのような気だるい日常の様子を"ふわーっ"とした雰囲気で表現しており、とてもよかったし、人気も高かった。
"バラキ"は、当時映画音楽に限定しないで全ての音楽ジャンルを含めてもめずらしい、楽器のアタック音をそのまま録ったかのような録音スタイルが評価されたらしかった。
まるで現在のCDを彷彿とさせるような、ハイテンポでダイナミックなサックスのJazzyサウンドが展開される秀逸作品だった。
"遠すぎた橋 序曲"は、マーケットガーデン作戦を描いた作品のテーマ曲だ。
ロバート・レッドフォード扮するクック少佐が、"ナイメーヘン"橋を奪還した際にも使われたこの曲の一部は、自由・解放への喜びをそのまま表現しているかのような、軽快なアップテンポの行進曲で奏される。
"犬神家の一族 愛のバラード"はもちろん大野雄二先生の作曲で、当時"ルパン三世"や"スペースコブラ"で爆進中の先生の会心作である。
琴がメインとなったその旋律から醸し出される優美な雰囲気は、幽美と表現してもいいのではないかと思われるほど怪しさと儚さを放っていた。
スパイ映画の007シリーズや電撃フリントシリーズも人気が高かった。
"ジョーズ"以降ジョン・ウィリアムスも当然常連で、"スターウォーズ"・"スーパーマン"などはよくかかっていたし、私もその頃は好きだった。
どれか選べといわれれば、私は"帝国の逆襲"のオープニングのブラス系の鳴らし方が好きだ。
ちょっと利かせすぎではないかと思われるほど、ブラスがきらびやかなのだ。
かなりはまっていたのだが、なぜか私は初代の"スターウォーズ"や"スーパーマン"以降、徐々にジョン・ウィリアムスの曲に飽きていった。
たぶんそれを決定づけたのは、"ジェダイの復讐"だったと思う。
この"ジェダイの復讐"を境としてジョン・ウィリアムスの曲は、初代"スターウォーズ"の各楽器が絡み合うような旋律がいつの間に消えて、なぜかイージーリスニングのようなオクターブを変えただけのような単調な曲がメインになっていくのである。
そしてそれとともに、私の映画音楽熱も冷めていった。
いま映画音楽の世界では、現代音楽的なものが主流となっているようだ。
たしかに、映画を盛り上げるためには、現代音楽のような曲調の方があっているようだし、そのような曲も大好きだ。
だが、何年経っても皆に聴かれる映画音楽は、目に見えて減っているような気がする。
いまの映画音楽サウンドトラックを聴くために、CDを買うことは滅多にない。
エンディングテーマとしてだけ流れる挿入歌のヒットも、それはそれとしていいのだが、心に残る目の覚めるような映画音楽の復活をぜひに期待したい。
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