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チモシーに会いたい
今ほとんどの人にとって、はじめて見る本というと、なにになるのであろうか。
はじめて見る本ということは、ほとんどの場合、絵本ということになるのであろうが、私の赤ん坊の頃は、"まる・さんかく・しかく"と相場が決まっていたような気がする。
"まる・さんかく・しかく"は、その名の通り、どのページにも"まる"と"さんかく"と"しかく"しか描かれていない。
しかも、"まる"編と"さんかく"編と"しかく"編の3冊に分かれていて、各本には"まる"なら丸、"さんかく"なら三角、"しかく"なら四角しか描かれていないのだ(あんまりよくおぼえていないけど)。
しかし、この"まる"とか"さんかく"、"しかく"が問題で、いわゆるドローソフトのコンピュータ演算で描いたような"真円"とか"真三角"とか"真四角"ではないのだ。
"真三角"という言葉があるのか知らないけど、つまり等幅の線で正確に描かれた丸とか三角とか四角はまったく出てこなかったような気がする。
線は微妙にゆがんでいてギザギザしており、かかれている図形もちょっとゆがんで変形していた。
今思えばこれが、私の絵に対する基本の見方になっているような気がする。
いい年になった今でも、アニメの平成おそまつくんに描かれているような、ちょっとゆがんだ線に趣のあるラフ画のようなものが好きなのである。
色はシルキートーンなど、純色でない中間色で淡い色をしたものが好きなのだ。

5歳くらいになって買ってもらったというか、ほとんど親に無理矢理押しつけられたものは、トーベ・ヤンソンの"ムーミン"原作本であった。
ヤンソンの絵は独特の筆遣いがあり、そのアンニュイなファンタジーの世界はそのストーリーも含めて、その後大のお気に入りになってしまった。
第1期のアニメ"ムーミン"は、家族のお気に入りであったが、私は原作にない日本人向けに作られたそのストーリーやアニメチックな絵に不満だった。
最近公開された第2期の"ムーミン"も絵は原作にかなり近くなったが、微妙に簡略化されており、原作の趣にはかなうべくもない。
ストーリーも、第1期と同じような日本人向けの味付けがされており、原作のアンニュイなファンタジー感覚がない。
CMで見たとき、第1期に比べてかなりトーベ・ヤンソン的になっていたので期待したのだが、残念な出来だ。

幼い頃からあって、その後長く(中学生の頃まで)とってあったのが、"やまんばのにしき"である。
松谷みよ子先生の作品らしいのだが、民話的なお話とそれを盛り上げる挿し絵が、非常に印象に残っている。
食べられると思っておそるおそる行った先の山姥を世話してもらった、いくら使ってもなくならない錦のお話は、幼い頃には本当の民話かと思っていたくらいだった。

"おばけちゃん"も松谷みよ子先生の作品なのであるが、インターネットで調べたら、どうも私の記憶にある"おばけちゃん"とは違うのである。
私の記憶にある"おばけちゃん"は、色が白か薄い黄色だったような気がするのだ。
ストーリーは現在公開されているお話そのままなのだが...
これを書きながら、突然思い出して、読みたくなったものがある。
同じお化けの話なのだが、外国のお話なのだ。
たしかボロ布をまとったお化けのお話だったような。
女の子一人を含む3人組が、そのお化けに絡むようなストーリーで、お話のメインにお化けのまとっているボロ布が関係しているようなものだった気がする。
思い出した。"おばけのボロジャグチ"である。
学研の学習特大号についていたお話だった。
どうしてもタイトルを思い出せなくて、3時間くらいインターネットをさまよった。
どういうわけか、思い出せないと思うと非常に読みたくなるものである。
思い出せたきっかけは、"シーツ"であった。
はじめはボロ布だと思っていたのだが、"そういえば、布じゃなくてシーツだ!"と思いついて検索すると、5000件くらいヒットしたひとつに、"ボロジャグチ"の表示があったのである。
挿し絵が村上豊先生のものではなくなっているらしいが、久しぶりにチモシーに会いたくなった。

その後に出会った絵本は(この頃には、すでに小学4年くらいにはなっていた)、弟が親に買ってもらった"スケートをはいた馬"である。
これも、現在は絶版になっているらしい。
なんと、作者はあのエーリッヒ・ケストナーだというのである。
原題は全く違うものらしく、"五月三十五日"というのだそうだ。
インターネットでみたところでは、岩波書店のケストナー少年文学全集5に、これが収められているとのころだ。
だが、私は文章もさりながら、あの表装と挿し絵が見たいのだ。
いかにもヨーロッパ風といった、青の下地に金色の草模様が入った表紙を。
調べると絶版になっているものが多いのだが、次の世代の子供たちにも、自分が体験したような素晴らしい作品を是非に見せられるようにと、思わず願ってしまった。
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